榊原工機は2024年1月19日から2月29日まで、ゴールゼロの真鍮製ランタンケース「名もなきランタン 暁」でクラウドファンディングに挑戦しました。多くの方から応援購入をいただき、誠にありがとうございました。
名もなきランタン 暁
【特設サイト】
https://sakaki-gear.com/
【CAMP FIRE 】
日本の職人が作りだす。真鍮製ランタン。ゴールゼロが趣きのあるランタンに変身
https://camp-fire.jp/projects/view/724739
設計・製造のこだわりポイントを紹介します
このページでは、「名もなきランタン 暁」の製造工程で、金属加工職人のこだわりポイントをご紹介します。今回も、榊原工機の榊原社長にご説明いただきました。
「旋盤」という機械で削っています
この棒材を削るのは「旋盤」という機械。旋盤を使った旋削加工では、素材をがっちり掴んで高速回転させ、固定した刃物(バイト)を移動しながら当てて、求める形を作っていきます。
ポイントは、加工対象が回転することです。加工対象が回っているので、棒状・円筒状など丸い製品を作るのに適している加工なのです。丸い「名もなきランタン」にぴったりの機械ですね。
※旋盤を使った旋削加工について、詳しくはこちらのページで書いていますので興味がある方はぜひご覧ください。
さて、榊原工機にはレトロな旋盤から最先端の設備まで揃っているのですが、「名もなきランタン」の加工にメインで使っているのはこちら、最新の複合加工機「MULTUS(マルタス)」です。
「名もなきランタン」は、直径50mmの丸棒から1個ずつ、時間をかけて削り出していきます。
※注:ブラック、シルバーはアルミの棒材から削り出します。
材料の棒を旋盤に固定して回転させ、右側にある刃物(バイト)を当てて削っていきます。
「名もなきランタン」の加工が難しいポイントは、中がくぼんだ形状になっていることです。
ゴールゼロをジャストサイズで入れるため、ケースは外側と内側を精密に削る必要があるのですが、
ベース部分の内側や……
こういうところはどうやって削るのか…… 難しそうですよね。
実は一般的な工業製品は、中にくびれを作らないのが普通なんです。
加工が難しいから、結局高くなってしまうためです。
でも「名もなきランタン」では敢えて難しい加工にチャレンジしています。
最初は刃物(バイト)を特注でオーダーしていた
実は、一般的な加工方法で内側を削ると刃物が製品と干渉してしまうため(ぶつかったりするため)、
最初の頃はバイトを特注で作ってもらったりして、かなりコストをかけて加工していました。
製作の回数を重ねていくと少しずつ改善していって、
途中で「スローアウェイバイト」というバイトで使い方を工夫すれば、既製品でも加工できることがわかってきました。
それでも「名もなきランタン」に使っている刃物はチップ自体が1個15,000円もする高級品です。
このようなこだわりの積み重ねで、製造直売ならではのハイクオリティを実現しています。
美しい表面を実現するための工程
フタは、美しい切削面を表現するために、表側と裏側の2工程で加工しています。
1工程目は、裏側の内側と外形を複合旋盤マルタスで加工します。
こちらの写真で複合旋盤マルタスの稼働中の様子を見ると、右側の軸が斜めになっているのがわかりますか?
複合旋盤は、従来の旋盤よりも右側が自在に動くので、丸の形状だけでなく、スイッチを押すための平面部分や突起までを1工程で、しかも正確に削ることができます。
こちらが蓋の内側はの形状です。
円筒部分、Oリングの入った溝、スイッチ機構の構造など、大変複雑になっているのですが、
複合加工機なら内側を1工程で削り出すことができます。
ということで、反対側にあるフタの上側を機械で掴んで、こちらの内側の複雑な形状と、外径を最初に削ります。
その流れで、横穴まで1工程で削ってしまいます。
これができるのは、右側の軸が自在に動く複合旋盤だけ!
これが、複合旋盤という最新鋭の機械を使っている理由です。
マルタスじゃないと「名もなきランタン 暁」は完成しないというわけです。
最も複雑な内側の加工ができたら、2工程目に移動します。
実は初期モデルのフタの表面は、ペーパーで上の面を仕上げていました。でも切削面の方が美しいので、途中で切削仕上げに変更しました。
工程数は増えますが、美しさ優先! こちらもSAKAKI GEARのこだわりなので、ぜひ磨いてあげてくださいね。
隠れキャラ(デザイン)もいます
さて、「名もなきランタン」には隠れキャラというか、隠れデザインも仕込んであります。
ぜひ見て欲しいこだわりはここを正面から見てもらうと、インフィニティ∞マークになっているんですよ。
実はこれも、この位置に持ってくるのに大変苦労したポイントです。せっかく加工できても、機械のトラブルで200個くらい廃棄したこともあります。そんなトラブルも乗り越えて、皆さまのお手元にもうすぐお届けできるのが本当に嬉しいです。
さて、クラウドファンディングが終わった後も、「名もなきランタン」はSAKAKI GEAR のオンラインショップでご注文いただくことができます。
ただし、今ご注文を頂いた方は、クラウドファンディングのご注文分の発送が終わってからの製作になりますので、しばらくお待ちください。
【SAKAKI GEAR オンラインショップ】
https://sakakibara55.base.shop/
では、今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
CAMP FIREでご注文頂いた方、ただいま全力で削っておりますので、到着までしばらくお待ちくださいね。
その他の提案・試作事例
こちらまで